■1■日本での不動産売却に係る中国税務処理の前提条件について
*対象資産:不動産は日本国内に所在
*収入性質:不動産売却収入
*納税義務者:中国居住者(個人:中国に住所/183日以上滞在)
※非居住者は日本でのみ課税対象(中国に住所がなく、かつ1納税年度内の滞在が183日未満。)
*為替レート:取引発生時または支払日の中国人民銀行公表仲値レート適用
■2■日本の不動産売却に係る中国税務処理
1.基本原則
2.実務フロー
*売却完了後、取引明細と日本納税証明資料を整理
*為替換算後の課税所得を計算
*税額控除適用後の差額分を中国で納付
3.注意点
*税額控除の上限は中国税率(20%)に基づき、部分税務機関では15%を上限とする場合あり。
*所得申告の時期を越えた場合、追徴税や延滞金のリスクあり。
■3■中国个人所得税(売却収入)費用控除規則
1.基本控除ルール
*取得時の購入代金+改修費+登記費用等、売却時の仲介手数料+測量費等の費用控除可能。*為替換算は取得時・売却時それぞれの人民銀行仲値レート適用。
2.日本不動産売却への適用ポイント
*日本国内での税金(例:譲渡所得税)支払い証明が必要
*収入と費用に関する証明資料を完備
3.日中税務処理の比較表
*日本側:譲渡所得税20.42%(源泉徴収)
*中国側:20%の所得税、税額控除適用
4.税務申告のアドバイス
*日本側の納税証明を事前に取得
*中国国内の税務専門家と連携し、正確な換算と控除処理を行う
5.違反リスク対応
*海外口座調査制度(CRS)により、未申告は高リスク
*意図的な不申告は税務ペナルティ対象
■具体事例
①条件
・日本不動産売却額:2,000万円
・原始取得費用:1,200万円
・諸経費・手数料等:200万円
・為替レート:1円=0.05元
②計算ステップ
1.日本側課税所得:
2,000万円 - 1,200万円 - 200万円 = 600万円
2.日本源泉徴収税額(20.42%):
600万円 × 20.42% = 122.52万円
3.中国側課税所得:
600万円(=日本での所得と同額)
4.中国個人所得税額(20%):
600万円 × 20% = 120万円
5.日本税額の控除:
通常は最大120万円まで、だが一部地域は
控除上限=売却額の15%=90万円
6.追加納税:
120万円 - 90万円 = 30万円(約1.5万元)
■まとめ■
・日本不動産の売却により得た収入について、中国の納税義務者は中国でも申告と納税義務あり。
・日本で支払った源泉徴収税は、中国での税額控除対象だが、実務上の控除上限に注意が必要。
・正確な資料整理と日中両国の税務制度に基づいた対応が不可欠。
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